作品/資料詳細
時代椀大観 第一輯
ジダイワンタイカン ダイイッシュウ『時代椀大観』は松田権六が全国から集めた様々な時代の漆椀を調査・研究し、その成果をまとめたものである。松田は数ある漆芸品の中で、漆椀が古今東西最も愛され続けていること、一方で日用品であるが故にその価値は漆芸家の間でも評価されていない点に着目し、個人的興味からその実態調査に取り組んだ。この活動を通して、松田は美術工芸における用と美について関心を深めていくこととなる。
昭和12年(1937)に東京美術学校石川県郷友会が金沢で展覧会を開催するにあたり、漆椀数十点を会員で模写・出品したところ、非常に好評を博した。そこで出版の話があがり、まずは64枚を第一輯として販売したのが本資料である。本文には白黒写真と解説シートとともに、松田はじめ県郷友会員が模写した絵が収められている。このことからも、本資料は松田権六の編著のみならず、石川県出身の東京美術学校卒業生による共同作品集という歴史的価値も内包されている。
集録作品は元禄以前の漆椀とし、編輯には松田と東京美術学校講師の羽野幀三(図案専門)があたった。序文は前東京美術学校長の正木直彦をはじめ、松田の恩師である六角紫水など当時の名だたる芸術家・美術学校関係者が名を連ねており、本資料に対する期待の大きさがうかがえる。
刊行は全八輯となる予定であったが、太平洋戦争の激化による資材不足、さらに東京大空襲による松田家の火災により資料や関係書類一切合切を消失し、第一輯のみの刊行となってしまった。さらに、戦後GHQによって公職追放調査のため20部ほど回収されるなど、数奇な運命をたどっている。
昭和47年(1972)に文化出版局より復刻版が刊行されている。
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文化財指定-
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カテゴリー
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作者松田権六・羽野幀三
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製作/発行宝雲舎
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年代1939
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区分図書
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寸法-
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数量1冊
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備考初版本
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所蔵館金沢ふるさと偉人館
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資料ID4661
時代椀大観 第一輯
[所蔵館] 金沢ふるさと偉人館
[作者] 松田権六・羽野幀三
[カテゴリー] 美術・工芸
カテゴリー
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